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 現在進行中の社会福祉基礎構造改革の基本的な方向性は、社会福祉サービスの形態を従来の中央集権型福祉サービス体制から住民参加を志向した地域福祉型サービス体制へと変革しようとするものであるといえます。
  この社会福祉基礎構造改革を考えて行くうえでは、「利用者本位」の福祉サービスの実現を基本的視点として、福祉サービスの量的拡大、効率化、質的向上、地域福祉サービスの計画・実施・見直し等の段階での住民参加(住民自治)、地域における福祉コミュニティの形成をいかに実現していくかが重要な課題といえるでしょう。

(1) 福祉サービスの量的拡大、効率化

 少子高齢社会が進行する中で、福祉ニーズは多様化・多元化しており、社会福祉サービスのさらなる量的充実、効率化が必要となっています。この点、介護保険制度等の導入により、市場原理が適切に働き、経営ノウハウをもつ民間の事業者をはじめ多様な事業主体の参入により、福祉サービスの量的な拡大、サービスの効率化、コストの費用対効果を考慮した事業経営等が期待されています。
  しかし、本来福祉国家とは社会的弱者の権利保護のために財産権に制約を加え、自由競争を制限するところにその本質があり、社会福祉サービスにおける「契約」制度の導入は、社会的弱者保護の思想と対立する危険性をはらんでいるのも事実であります。
  社会的弱者の権利擁護のための諸制度、事業者の経営の健全化、事業の透明性確保のためのシステム作りが必要とされる所以といえるのではないでしょうか。

(2) 福祉サービスの質的向上

 従来、サービス提供者が自ら供給したサービスに対して自己評価をしたり、外部より評価を受けるということはあまりありませんでした。しかし、サービスの質の向上を図るためには、サービス評価やサービス情報の開示によって社会的な評価を受けることは必要なことです。
  そして、福祉サービスの提供に伴う利用者の要望や苦情などを、利用者の立場に立って解決する苦情解決制度やオンブズマン制度なども、利用者の権利を守り、サービスの質を向上させる上では必要なものといえるでしょう。
 また、福祉サービスの充実のためには、福祉を支える人材の量的・質的な向上も重要な要素であり、人材養成プログラムの充実等が必要です。
 さらに、利用者一人一人のニーズに合致した福祉サービスの実現には、適切なケアプランの作成のためのケアマネジメントシステムの構築が重要となります。

(3) 地域福祉の充実 

 中央集権型の福祉サービスから地域福祉型サービスへの転換は、地域における社会福祉施設を単なる収容施設としてではなく、地域の拠点として様々な機能を複合化・統合化させた「居住福祉」型施設へと転換させていくことになります。 
  この場合、利用者のおかれている状況に応じて、在宅福祉と施設福祉とを自由に選択ができるような、相互の互換性を持ったシステムの構築が必要となります。従って地域福祉サービスの主体である市町村は、介護老人福祉施設のような地域拠点作りと、在宅の高齢者や障害者の地域での自立した生活を支援する拠点作りを進めていく必要があるでしょう。また、地域福祉システムを住民本位の仕組みとして機能させるためには、地域コミュニティに支えられた住民参加による地域福祉計画の策定が重要です。

  平成17年6月22日、通常国会において介護保険法の改正法案が審議され、可決・成立しました。この改正法の主な内容として、「介護予防の重視」とともに「地域における福祉サービスの重要性」が強調されていることに注目すべきでしょう。

  私ども中央医療総合学院は、地域における医療・福祉サービスのあり方を模索しつつ、今後も医療・福祉サービスの一端を担う人材の育成に心がけていく所存であります。
中央医療総合学院 学院長 佐久山敏之